日本財団海と日本project

草食系おととの大変身inみえ熊野

活動レポート

【キックオフイベント】を開催しました!~定置網漁体験&食植性魚試食会も同時開催~

一般社団法人 旅する学校は、7月22日に海のごちそう地域モデル事業inみえ熊野のキックオフイベントを開催いたしました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

 

●イベント概要

・開催概要 7月22日 (土)、午前は二木島町にて超小型定置網体験&試食会を、午後は熊野市民会館にて2つのトークセッションを開催
・日程 2023年7月22日(土)
・開催場所 午前(二木島甫母浦) 午後(熊野市民会館)
・参加人数 37名
・協力団体 熊野漁協・熊野市観光協会・熊野市教育委員会・三重外湾漁協・鳥羽磯部漁協


●プロジェクトの目的

豊かな自然に恵まれた三重県。
中でも伊勢志摩から熊野古道へ続く海岸線は、イセエビやアワビ、サザエなどの海の幸の宝庫。そして彼らが生きるのになくてはならないのが海藻たちです。その海藻が海の森となる藻場(もば)をつくり、多くの生物たちにとって海のゆりかごとなっています。しかし近年、三重県沿岸では、海の森の減少が急速に進んでいます。原因の一つは、地球温暖化や黒潮の大蛇行に起因する海水温の上昇によって海藻を食べる魚(植食性魚類)が増えていることにあります。ところが、これらの魚たちは、あまり美味しくないイメージがあり、漁師さんも好んで水揚げせず、一般的に流通する機会も少ない魚たちです。そこで私たちは、これらの魚たちを美味しく食するプロジェクトを通じて、漁師さんたちに積極的に水揚げしてもらい、海藻と魚たちの友好的なバランス関係を目指していきます。そしてこの取り組みを通じて、次世代を担う子どもたちと一緒に海から学び、考え、海といのちを未来へつないでいきます。


●2つのトークセッション

当日の様子(動画)キックオフイベント全編

【トークセッション1】「海がおかしい?いま何が起きているのか。」
海と日本プロジェクトの課題でもある「海の異変」について、3人のゲストの方々から、それぞれの目線でお話していただきました。海の異変については、気候変動によるものや黒潮の大蛇行、陸域からの水の流入など様々な要因が考えられます。また、一口に異変と言ってても、長期的、短期的にも事象は様々でとても幅広いため今回は、我々のプロジェクトの題材でもある、全国的に海藻が減ってきている事実と、それが生物や生態系に与える影響、漁業との関わりなどについて、三重の海で起きていることを現場や研究者など海に関わる方々から共有していただきました。
進行役:小野里 伸(海のごちそう地域モデル事業inみえ熊野事務局長)
ゲストスピーカー:松田浩一 (三重大学大学院生物資源学研究科 教授)、桑原久実 (水産工学会藻場回復研究会)、大野愛子 (鳥羽市海女・フォトグラファー)

【トークセッション2】「Sea for school ~海から始まる教育の可能性~」
三重の海を高校の教育フィールドにしようと、熊野市二木島町へ支店をつくった「旅する学校」の狙いを聞きながら、海に寄り添う教育のありかたについて議論しました。
子どもたちの海離れの課題から、地域の学校が廃校している課題、さらには少子高齢化など、海の課題を次世代に伝える人が年々減ってきているという課題も関係しています。「海のごちそう地域モデルinみえ熊野」では、地元の学校や、ここを訪れる学校や先生たち、子どもたちとの連携を常に意識しながらプロジェクトを進めています。結果的に、漁村ならではの教育を食を通じてつくり出し、発信していくことを通じて、これらの課題解決を目指していきます。
進行役:山藤旅聞 Ryobun Santou(一般社団法人 旅する学校 代表理事)
ゲストスピーカー: 田中 りみ 氏(㈱ゲイト、水産庁水産女子メンバー)、小谷祐介 氏(一般社団法人地域・教育魅力化プラットフォーム)、上田壮一 氏(一般社団法人 Thinku the Earth 理事)

【キャッチフレーズ】海藻を食べる魚を「シーベジたべるフィッシュ、草食系おとと」と命名しました。
その魚たちを美味しく食べてあげることで海藻が育ち、そこでたくさんの生き物が生まれ育つ生物多様性の海を目指していきたいと考えています。また、今回のプロジェクトは「子どもたちと一緒に」というもう一つの大きな柱があり、未来へつなげていくという役割も担っています。これは、日本財団が大切にする海洋教育を担うもので、これから海というフィールドを積極的に教育現場に変えていくための布石となれば良いと考えています。

 

●関係者向け超小型定置網体験&試食会

本トークセッションに先立ち、午前中には、本事業において今後、以下のプロジェクトを実施するにあたってご協力いただく関係者を対象に、実際に超小型定置網漁に出港し、獲った魚でつくったおさしみとテーマになっているシーベジたべるフィッシュ(草食系おとと)の試作メニューを召し上がっていただき、海での体験と食の体験を通じて現状の海の課題への理解を深めていただきました。

当日の様子(動画):https://www.youtube.com/shorts/kcV9_OBXb6k

<海藻を食べてしまう魚の現状把握と原料確保>

現状、水揚げしづらい状況の海藻を食べてしまう魚を、漁業者や漁協の協力を得て、水揚げしてもらい買い取る試みをします。今回の試食会の原料は、実際に漁業者や漁協の協力のもと、水揚げして買い取ったアイゴのフィレを使いました。当日の超小型定置網漁体験ではシーベジたべるフィッシュ(草食系おとと)は漁獲できませんでした。

<魚の処理技術研究およびメニュー開発>

地元飲食店や漁業関係者と一緒に、大学生や高校生などに参加してもらい魚のさばき方や処理技術研究、おいしく食べるためのメニュー開発をします。今回は、処理技術の研究を、鳥羽磯部漁協の協力のもと実施され、試食会メニューでも活用されています。

<飲食店連携とイベントの実施>

地域内外の飲食店など20店舗と連携して、海で起きていることやストーリーを知ってもらうためのイベントを実施します。今回は東京のカルボナリ党の三浦シェフをお招きし、シーベジたべるフィッシュ(草食系おとと)の試食会を実施しました。

 

●参加者からの声

今回のイベントには、今後本プロジェクトを一緒に盛り上げていただく関係者のみなさまにご参加いただきました。参加者からは以下のような声を頂きました。
・耳からうろこのお話もお聞かせいただきました。
・価値観が急速に変化している昨今。動物愛護の観点だけでなく、教育というものも今までのあたりまえや常識に収まらない、よりよい形への進化に待ったなしの現状。
・藻場を守り、磯焼けを無くす為のプロジェクト。始めてまいりましょう。
・今後、熊野市二木島町をベースに展開されるこの事業。ワクワクがとまりません。

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